【 キートンの探偵学入門 】(Sherlock Jr.)
1924/米国/モノクロ・サイレント/日本語字幕DVD/44分

監督:バスター・キートン 脚本:ジーン・ハーヴェッツ/ジョセフ・ミッチェル/クライド・ブルックマン
シャーロック・ジュニア:バスター・キートン/ヒロイン:キャサリン・マクガイア
【 概要 】
貧しい映写技師の青年が恋人の家に挨拶に行くのですが、そこで彼女の父親の時計が盗まれるという事件が発生します。
青年は愛読書の“探偵入門書”を開いて捜査を開始するのですが、恋敵の策略で犯人に仕立て上げられ、失意の内に映画館に戻ります。
しかし青年の恋人は、青年の仕業だとは信じられず調査を始めます。

青年は仕事場の映写機にもたれて眠り込み、上映中の映画の中に入り込んでしまい、名探偵シャーロック・ジュニアとして事件を解決し美女の危機を救う――という夢を見ます。
さて現実世界でもハッピーエンドと行くのでしょうか?

【 感想 】
ホームズ物というか、シャーロック・ジュニアという名探偵が出てくるだけの作品ですが、面白いのでご紹介。

初めて日本で映画が公開されたときのタイトルは『忍術キートン』だったそうです。
忍術キートン何という素晴らしいネーミングでしょう! あぁ、日本人に生まれて良かった……のだろうか? と考え込んでしまう凄いタイトル。

でも、実際に忍術か魔術か? と思うような不思議なシーンがいっぱいです。
青年が映画の中に飛び込んだりはじき出されたりするシーンも、本当にスクリーンに飛び込んで入ったように見えるんです。
アクションではバイクのハンドルに座り、操縦者なしで車の間をすり抜けたり、崩れる橋から見事に着地したりと、どうやって撮影したのか不思議なアクションシーンの連続ですが、全てノースタントでキートンが演じていたそうです。
ビリヤードの腕前も凄いです。

バスター・キートンは、決して表情の変わらない喜劇俳優というのが売りだったのですが、撮影中に首を骨折しても表情を変えなかったというのは凄すぎます!
チャップリンに比べ知名度が低いキートンですが、実力的には全く引けを取らない名優だったと思います。

≪BACK ‖ TOP ‖



【 リーグ・オブ・レジェンド 】The League of Extraordinary Gentlemen
2003/米国/20世紀FOX/日本語・英語字幕・吹き替えDVD/カラー/110分
監督:ステイーブン・ノリントン 脚本:ジェームズ・ディル・ロビンソン
英国諜報部員“M”:リチャード・ロクスバーグ 
【 概要 】
19世紀末、英国を始め各国でファントムと名乗る謎の男の指揮する集団により、盗難や科学者が誘拐されるという重大事件が頻発していた。
各国は互いに他国の関与を疑いあい、世界情勢は緊迫し世界大戦へと発展しかねない事態に陥っていた。

そこで特殊な才能を持ち合わせた超人達を集めた“超人紳士同盟”を結成するべく、大英帝国の通称“M”という諜報部員が超人達の元に使いを出した。
集められたのは“冒険家”アラン・クォーター・メイン、“透明人間”ロドニー・スキナー、“ノーチラス号船長”ネモ、“吸血鬼”ミナ・ハーカー、“不老不死”ドリアン・グレイ、“怪人”ジキル博士&ハイド。
いずれ劣らぬ伝説の超人に、米国諜報部員のトム・ソーヤーも加わり、ハイテクの粋を集めて作らた潜水艇ノーチラス号で、ファントムを追う。

しかし、個性の強い者達の寄せ集め同盟。些細なもめ事が絶えず、チームワークゼロ。さらに同盟内に裏切り者があらわれ、ノーチラス号の内部構造を隠し撮りしジキルの薬を盗んで消えてしまった。
そんな中、ノーチラス号はファントムが爆弾を仕掛けた極秘和平会議主催地のベネチアに到着。なんとか全都市崩壊を防ぎます。
しかし今度はノーチラス号に爆弾が仕掛けられ、航行不能になったりと、幾多の困難を共に乗り越える内に同盟の面々に信頼関係が生まれる。

ファントムの正体と真の目的を知った紳士同盟のメンバーは、ファントムが爆弾によってノーチラス号が沈んだと油断している隙をついて、ファントムの秘密の武器製造基地に乗り込みます。

【 感想 】
ネタばれなしには何も語れませんので、以降思いっきりネタばれますので、嫌な方はここで読むのをお止め下さい。気になさらない方は↓へどうぞ。





いいですか? では、ネタばれトーク行きます。
私は始め「英国諜報部の“M”とくれば、マイクロフト・ホームズだよね。リチャードさんってばシャーロックとマイクロフトの二役制覇か〜」と、思ってみておりました。
ら、違ったんですね。
※リチャード・ロクスバーグは『バスカヴィルの獣犬』にてシャーロック・ホームズを演じています。
“M”は“Moriarty モリアーティ”のMだったんです。ホームズと共に滝に落ちたはずが、どっこいこちらも生きていたという設定のようです。
生還した教授は、ファントムとして大暴れをしつつ、英国諜報部員になりすまして超人を集め、その超人の能力を盗み各国に売りつけようという、大変な働き者になられました。
それで、何でホームズの方は出て来ないんだよ! という突っ込みは作中誰もしてくれませんので、ここでひっそり私がしておきます。「ホームズを出せ! 兄の方だけでも良いから!!」ひっそりと言いつつ太文字……愛です
ジェームス ジェームスと、モリアーティに尽くしていたやけにホモくさい手下はやっぱりモラン大佐だったのかな。
ところで、モリアーティ教授。ファントムを名乗るくらいなら、やっぱりアリアの一つも歌って欲しかったぞ。Sing!My angel of music!


超人同盟と言うことで、特殊能力を持つ有名な人物達が登場するのですが、各キャラクターの説明はなし。
各自の背景や特技は知っていて当然として話が進みますので、元ネタを知らない人にはちょっと分からない箇所があったりします。
ちなみに私はクォーターメインが何者か知りませんでした。
格好からして「インディ・ジョーンズみたいな人だろう」と思ったのですが、それで概ね間違っていないみたいです。
しかし、ジキル博士ってハイドになってもマッチョマンになることは無いですよね。結構いいようにキャラが改変されてます。しかし、あんなに大きくなったり小さくなったりしたら体の皮がタレタレになりそうで嫌だなぁ。
キャラクターの中では、ドリアン・グレイが比較的知名度が低いようで、ネットの批評を見ていると「彼はいったい何者? 何で突然アレで死んだの?」という疑問が多かったですね。
ここはやはり知名度アップのため、ジェレミー・ブレット主演の『ドリアン・グレイの肖像』をどかんとDVDで発売して頂きたい!
私も写真でしか見たことがないのですが、麗しいんですよ〜ジェレミー。
でも、ジェレミーのドリアンは快楽に耽るようなタイプには見えず、自分の運命に苦悩する様が似合いそうな雰囲気です。
このリーグ・オブ・レジェンドのドリアンは、苦悩そっちのけで遊興に更けるタイプなので、足して2で割るとちょうど良いドリアン像かもしれないですね。

2を出す気満々の終わり方でしたが、出るのかは微妙な感じの興行成績だったみたいです。
ノーチラス号とかベニスの町並みとか、芸術面はとても美しかったし、登場人物が多い割には各自の話をバランスよく作っていて、よく頑張ってるなと思ったのですが、やっぱりその分見せ場がばらけてしまったというか、主役が誰だか分からないような、ここ一番の盛り上がりに欠けてしまった感があります。
もし2が出来たとしても、モリアーティにドリアンという私的に美味しいキャラはもう出てこないでしょうから、私は映画館にまでは見に行かないと思います。
もちろんワトスンかホームズを出してくれれば喜んで行きますが。というか、出して〜。

≪BACK ‖ TOP ‖