【 バスカヴィルの獣犬 】 The Hound of The Baskervilles
2002/英国/BBC/日本語字幕・吹き替えDVD/100分+特典映像21分

監督:デイビッド・アトウッド 脚本:アラン・キュービット
ホームズ:リチャード・ロクスバーグ/ワトスン:イアン・ハート
ヘンリー・バスカヴィル:マット・デイ/ステイプルトン:リチャード・E・グラント/ベリル・ステイプルトン:ネーブ・マッキントッシュ
【 概要 】
ダートムーアで、突然亡くなったチャールズ・バスカヴィル卿の検死審問会の最中、凶悪犯のセルデンが脱獄。捜索は湿原の底なし沼に阻まれ、セルデンは逃走に成功。チャールズ卿の死に続き凶悪犯の脱走で、ダートムーアは不安な空気に包まれる。

そんな中、ホームズの元にチャールズ卿の死に不審を抱いたダートムーアの医師モーティマーが、跡を継ぐヘンリー・バスカヴィル卿の安全についての助言と協力を求めて尋ねてきます。
翌日、依頼を受けたホームズの元に来たヘンリー卿は、脅迫とも警告とも取れる手紙を受け取ったことを告げます。改めて詳しい話をするべくホテルへ戻ろうとしたヘンリー卿を、不審な馬車が付けているのに気づいたホームズは馬車を追いますが逃げられてしまいます。しかし、ナンバーから馬車を割り出し、御者を締め上げて情報を引き出しますが、犯人は自らを「シャーロック・ホームズ」と名乗る大胆不敵な相手でした。
ホームズはヘンリー卿に一人歩きを避けるよう助言し、ワトスンをダートムーアに同行させます。

バスカヴィル館で、ワトスンは深夜に女性の泣き声を聞き、次の夜には執事のバリモアの不審な行動に気づきます。ヘンリーと共にバリモアを問いつめると、女性との密会のための合図だったと白状します。
翌日ヘンリー卿は地元の考古学者のステイプルトンの晩餐に招かれ、そこでモーティマーの妻による降霊会が行われますが、窓の外に巨大な獣が現れ、交霊会は中止されます。

館に戻ったヘンリーは、台所を漁っていたセルデンともみ合いになりますが逃げられ、その際ワトスンは湿原に不審な人影を見かけ、翌日その人影を探しに湿原に行き、そこに潜伏していたホームズと再会します。
ワトスンは自分にも隠れて捜査をしていたホームズに怒りをぶつけますが、ホームズはワトスンに犯人の目を引きつけて捜査を進めていたらしく、様々な情報を得ており、その後はワトスンと共に事件の真相に迫ります。

【 感想 】
冒頭でホームズとワトスンはトルコ風呂に行っているらしいのですが、セットが手抜きなので何処に来ているのかよく分からず、何というか……なんであなた方裸なの?(腰にバスタオルは巻いてますが)と、怪訝な顔つきになってしまいました。
ジェレミー・ブレットや ダグラス・ウィルマーの作品での風呂上がりでは、シーツにすっぽりくるまって顔だけ出していていて可愛かったのに比べると妙にエロチックでした。いや、個人的には好きですけどね。エロ。
これでホモ説が出ないようにか、インタビューでイアン・ハートがやたらと「ワトスンは女好きです!」と力説していたのには笑ってしまいました。そんなに“女好き”を連呼しないであげて下さい。みんな知ってますから。フォローになってない……

犬の伝説は多少変えられており、さらっと流されていました。
前半部分はかなり原作に忠実で、尚かつ土を調べたりするいつものホームズの捜査法が盛り込まれていていい感じですが、後半はホラー色を全面に押し出した作品と言うことで交霊会が行われたり殺人があったりと色々付け加えられています。
さらに、この作品はクリスマス特別企画みたいな形で制作されたため、事件の時期がクリスマスに変更されていて、クリスマスパーティーのシーンがあり華やかです。

キャラクターの変更点としては、どいつもこいつも紳士的ではありません。君達、もう少し落ち着きたまえ。
特にホームズ! ただお客の言うことを聞いていただけのキャブの御者に、暴力を振るうのは頂けない。
さらに事件の最中に『退屈しのぎ』のはずのコカインを何故打つのか? もう中毒?
ワトスンとの間に信頼関係が有るのかも微妙な雰囲気。飾らない気の置けない関係というには、あまりにも言葉も態度も刺々しい。
その分、最後にワトスンのご機嫌取りをして関係修復を計るシーンが可愛らしかったとも見れますが。

でも原作通り、犬に殺されたのがヘンリー卿ではなくセルデンと気付いて笑い出すホームズと、犯人を追って沼にはまるホームズが見られたのは良かったです。このシーンは削られることが多いので見られて嬉しいです。
ホームズの命が、ワトスンの服の仕立ての善し悪しにかかっちゃう事態はなかなか面白かったです。ドクターが痛々しくて激しく気の毒でしたけど。

魔犬はCGで、怖いと言うよりひたすら気持ち悪かったです。バイオハザードのゾンビ犬のようにぬらりとした動きが……ランチャーでぶっ飛ばしたくなりました。


なんだかんだと言いつつも、結構気に入ったのでこのシリーズの今後には期待しています。


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