爆弾の起爆装置を開発してしまったウィーン在住の科学者が、紛争国に軍事使用をされないためにと、イギリス政府に装置と設計図を売り渡した。
しかし、その情報はすでに漏れており、装置を受け取りに来たイギリス大使が科学者の家を出た直後にそれは盗まれてしまう。
犯人の後を追った科学者は、オペラ座劇場で犯人を追いつめるが、舞台の天井で揉み合う内に舞台に転落して死亡した。
イギリス政府は即座にシャーロック・ホームズに奪還を要請。ホームズは軍用装置の捜索に難色を示すが、兄のマイクロフトの説得でワトスンを伴いウィーンへと乗り込んだ。
事件現場のオペラ座で、舞台の上で事件を目撃したプリマドンナは、ホームズにとってただ1人特別な女性アイリーン・アドラーその人だった。
彼女は二年前に夫を亡くし、舞台に復帰していたのだ。
懐かしさに浸るまもなくホームズは捜査を始めるが、彼女の楽屋から犯人が着ていた外套が見つかり、さらに舞台の袖で何者かを目撃しているにもかかわらず、その人物を思い出すことが出来ないと言うアイリーンに不信を抱く。
誰を見たのか、心理学者のフロイト博士の協力で催眠治療で引き出そうとするが、アイリーンは無意識のうちにも証言を拒む。
事件よりもホームズと親密な関係になることに夢中なアイリーンに振り回されつつも、ホームズは彼女の協力を得て捜査を続ける。
容疑者が潜むオーストリアの総務大臣のパーティに、ホームズはアイリーンの愛人として、ワトスンはその従者として入り込む。その夜、アイリーンの服を着たメイドが、アイリーンと間違えられて殺される。
アイリーンは何を見たのか。
その真相も分からぬままホームズは設計図を追い、ロシア・ドイツの密偵と三つどもえの争奪戦を繰り広げる。
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