【 シャーロックホームズの勝利 】 The Triumph of Sherlock Holmes
1935/英国/制作/モノクロ/日本語字幕VHS/80分 

監督:レスリー・ヒスコット脚本:H・ホウラー・ミアー/シリル・トゥィフォード
ホームズ:アーサー・ウォントナー/ワトスン:イアン・フレミング
モリアーティ:リン・ハーディング/ハドスン夫人:ミニー・レイナー
【 概要 】
ホームズは体調不良により引退を決意。
ハドスン夫人を伴って田舎で養蜂をする準備を始め、221bにはワトスン夫妻が越してくる事になった。

ホームズは引退にあたり、『犯罪界のナポレオン』モリアーティを捕らえることが出来なかったことを残念がるが、周りはそれを妄想だと取り合わない。モリアーティも堂々と引退を祝いに来る。

割り切れない思いを抱えながらも隠遁生活を始めたホームズの元に、ワトスンが221bに届いたホームズ宛の手紙を持って訪ねて来ます。
その手紙はモリアーティの手下からの密告で、そこに隠された暗号を解いていると、レストレードがホームズの知恵を借りに来ます。解かれた暗号の示す場所で、まさに事件が起こったのです。
体調を気遣うワトスンの制止も聞かず、ホームズはモリアーティ絡みのこの事件に乗り出します。

暗号の示した城では、城主が顔を撃たれて死んでいました。
しかし、捜査よりも城の歴史書や蝋燭など、事件とは関係なさそうなことにばかり目を留めるホームズに、レストレードもワトスンも不安の色を隠せません。

ワトスンは調査中に、夫が死んだというのに男友達と楽しそうに会話している未亡人の姿を見て憤慨する。
不利な状況を見られた未亡人は、やむなく夫の秘密の過去を告白します。
それによって、モリアーティ教授が自ら乗り出してくると推理したホームズは、直接対決に挑みます。
【 感想 】
途中からは、まったくの原作の緋色の研究の事件をなぞった展開になります。
要するにウエスタンストーリーになっちゃう訳です。ホームズは出てこなくなってしまいますが、その辺りの話もうまくまとまっていて面白いです。

ワトスン役が前作の『四つの署名』でのイアン・ハンターから、イアン・フレミングに戻っています。
実はアーサー・ウォントナー主演で作成された4つのホームズ映画の中で『四つの署名』のみ、ワトスン役がイアン・フレミングではなくイアン・ハンターに変更されているのです。
どちらも名前が“イアン”なのでややっこしいですね。
これはフレミングではメアリー役の女優と歳の差が有りすぎて、不自然に見えると判断されたためだそうです。……ホームズとワトスンに年齢差が出る方がよっぽど不自然だと思うんですけど。

それはともかく、今回ワトスンはホームズの体調を慮って捜査に出かけるのを止めたり、ホームズはワトスンと2人で解いた暗号を、レストレードに「ワトスンが解いた」と手柄を譲ったりと、お互いをとても思いやった関係がいい感じです。
しかし、新婚早々に夫人はほったらかしてホームズと事件を追って行ってしまうワトスン。メアリーに三行半を突きつけられないかとちょっと心配。

NHKエンタープライズからビデオが発売されました。現在は絶版のようですが、レンタルか中古ショップには有るようですので探してみて下さい。
アーサー・ウォントナーのホームズと、イアン・フレミングのワトスン
↑は“体調不良のホームズを気遣うワトスンに、モリアーティ教授犯罪者説を説いてよけい心配をかけるホームズ”です。
しかし、このシリーズのホームズは、何故かいつも体調不良。
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【 銀星号事件 】
1937/イギリス/制作/モノクロ/日本語字幕VHS/69分

監督:トーマス・ベントレー 脚本:H・ホウラー・ミアー/アーサー・マクレー
ホームズ:アーサー・ウォントナー/ワトスン:イアン・フレミング
モリアーティ:リン・ハーディング/ハドスン夫人:ミニー・レイナー
【 概要 】
体調不良のホームズはワトスンの進めと、かつての依頼人ヘンリー・バスカヴィル卿の誘いに応じて、バスカヴィル家に保養に出かけます。そこで名馬銀星号盗難と、それに伴う殺人事件の捜査にかり出されます。
銀星号の厩の番をしていたハンターが阿片を盛られて死に、銀星号と調教師が行方不明になったのだ。
前日に調教師を訪ね、さらに他の馬に大金を賭けていたヘンリー卿の娘の婚約者が容疑者にされかかるが、ホームズの推理で難を逃れます。

事件は、銀星号の負けに大金をかけた男がレース直前で調子が良くなった銀星号を、秘密裏に何とかしようと起こしたものでした。
ホームズは事件のやり口からモリアーティの関与を主張しますが、ワトスンやレストレードは考えすぎだと取り合いません。しかし、関与に気づいて妨害に乗り出したホームズを疎ましく思った教授は、ホームズ達の乗った車をマシンガンで射撃します。全員何とか無事だったものの、車は横転して大変な状況でも、これでモリアーティの関与を認めるだろう? と、得意げなホームズ。
そんなホームズの活躍により銀星号は無事にレースに参戦出来たが、なりふり構わぬモリアーティの妨害で敗戦。
そこで油断した犯人の後を付けてモリアーティのアジトを見つけだします。

【 感想 】
『勝利』と同じ配役ですが、アナザーストーリーとでももうしましょうか。『勝利』で片が付いたはずのモリアーティ教授がまた出てきます。
部分部分は原作通りですが、色々付け足されてモリアーティが影で暗躍するお話になっています。何かもう宮崎アニメの犬ホームズのところのモリアーティみたいに、すべての企みの裏にはモリアーティ有りという感じです。有らぬ罪まで着せられてちょっとお気の毒。

それはともかく、この作品の後半のワトスンの格好良さは必見!
危険を省みず捜査に協力するワトスンと、それを信頼してじっと報告を待っているホームズ。絶体絶命の時もホームズを信じ続けて悪に屈しないワトスン……格好良すぎます! 素敵だドクター! ワトスンファンにたまりません。

こちらもNHKエンタープライズからビデオが発売されました。現在は絶版のようですが、レンタルか中古ショップには有るようですので探してみて下さい。

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