【 オリビアちゃんの大冒険 】 The Great Mouse Detective
1986/米国/Disney Enterprises, Inc/日本語字幕・吹き替えDVD/75分

監督:ジョン・マスカー/ロン・クレメンツ/デイブ・ミッチェナー/バーニー・マティンソン
脚本:ピーター・ヤング/ヴァンス・ゲリー/スティーブ・ヒュレット
バジル:バリー・インガム(青野武)
ドースン:ヴァル・ベッティン(永井一郎)
ホームズ:ベイジル・ラスボーン※生前の音声を使用
ワトスン:ローリー・マイン
【 概要 】
可愛いネズミのオリビアちゃんは、ママがいなくても優しいおもちゃ職人のパパのおかげで幸せに暮らしていました。
ところがパパは、突然現れた謎のコウモリに連れ去られてしまいます。残されたオリビアちゃんは、名探偵と名高い『ベーカー街のバジル』に助けを求めに行きますが、途中で迷子になってしまいます。
そこに通りがかったアフガン帰りのドクター・ドースンが、親切にオリビアちゃんをベーカー街に連れていってくれました。

ようやく目的地にたどり着いたものの、バジルは他の事件に夢中で話を聞いてくれません。しかし謎のコウモリの事を話すと、突然乗り気になります。そのコウモリはバジルが長年追っている宿敵ラティガン教授の手下だったのです。
たまたま居合わせただけのドースンも巻き込み、トービーという犬の嗅覚を利用して捜査を開始するバジル。
オリビアちゃんも頑張って付いていきますが、隙をつかれてコウモリに連れ去られてしまいます。

バジルはコウモリが落としていった一枚のメモからラティガンのアジトを突き止め、ドースンと共に変装して乗り込みます。
【 感想 】
『ベーカー街のバジル』というのは、ベーカー街221bのホームズの家に住むネズミで、ホームズに憧れ、その手法を足下で学びネズミの世界の大事件を解決する、ネズミの世界の名探偵です。

そういう設定ですので、人間のホームズとワトスンはシルエットで少し出てくるだけです。
このネズミのバジルは俳優のベイジル・ラスボーンがモデルとされているため、ホームズの声にラスボーンの生前の声が使われました。(ラスボーンは1967年没)しかし、それならば何故ワトスンをナイジェル・ブルースにしなかったのか? ラスボーンの相方と言えばやっぱりブルース。ひどく中途半端に感じました。

それはともかく、内容的には面白かったです。でもディズニー屈指のマイナー作品。世間にはほとんど知られていない様子。私は親戚や知り合いに子供が産まれると、お祝いにせっせとこのDVDを贈って布教に励んでおります。

この話は、バジルとドースンが初めて出会った事件として画かれています。
ドースンは太っちょであまり見た目が格好良くないですが、誰に対しても親切で優しく、自信家のバジルが自信を喪失して自暴自棄になったときには叱ってくれるしっかりした紳士で、好感が持てます。
変装して場末の酒場に行ったときも、他の客がステージに上がろうとして踊り子ちゃんに蹴飛ばされるのに対して、ドースンは引っ張り上げられてほっぺにチュウまでしてもらっています。
これはたぶん、舞台で芸をしていた芸人に1人拍手を送ったのを舞台袖で踊り子ちゃん達が見ていたからなんじゃないかな? とか、細かい部分でドースンの良さが描かれているので、見た目については目をつぶります。

ディズニー映画ですので、途中ミュージカルも入ります。ラティガン教授を演じるヴィンセント・プライスがのりのりで歌っておりますが、バジルやドースンの歌はなし。ちょっと寂しい。
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【 名探偵コナン ベイカー街の亡霊 】
2002/日本/小学館・東宝/日本語DVD/107分

監督:こだま兼嗣 脚本:野沢尚
江戸川コナン:高山みなみ/ホームズ: 田中秀幸
【 概要 】
――ある闇組織の毒薬によって子供の姿になってしまった高校生探偵・工藤新一は“江戸川コナン”という偽名で、父親が探偵をしている幼なじみの毛利蘭の家に居候をしながら、近所の阿笠博士の協力を得て闇の組織を追う。……という人気テレビアニメシリーズの劇場版です。


天才プログラマーの少年、ヒロキは自己成長可能なプログラムを完成させた夜、自ら命を絶った。

それから五年後。ヒロキが開発に関わっていた新型ゲーム機『コクーン』の制作発表パーティが開かれ、政財界の子息達がゲーム機に試乗することになっていた。その会場の地下で、開発者の1人が刺殺された。
ゲーム開発に阿笠博士とコナン(新一)の父、工藤優作が関わっていたことから会場に居合わせたコナンは、被害者のダイイングメッセージから、ゲームの中に手がかりがあると睨み、ちびっ子探偵団と共にコクーンに試乗。コナンを心配した蘭も試乗する。

しかし、ゲームのバーチャル空間は何者かに乗っ取られ、ゲーム機に入った50人の子供達は、誰かがゲームをクリアする事が出来なければ、ゲーム機に電圧が流れ全員が殺されるという命がけのゲームを強いられることに。
コナン達は『タイムスリップロンドン』という“切り裂きジャック事件の犯人をホームズの助言を受けながら探し出すゲーム”に挑む。このゲームの中に、現実世界の殺人の鍵も隠されているはずなのだ。

だがプログラムは操作され、お助けキャラのホームズが出現せず、コナンはホームズの残した資料を基に独自に調査を始める。
現実世界では優作がゲーム機の暴走と、殺人事件に何らかの関係があるとみて調査を進める。
【 感想 】
EDで背景に流れる倫敦の夜景がとっても綺麗です。それから、え〜っと…………これ以外に誉められる箇所は見つかりません。

初めに断っておきますが、私は名探偵コナンが大好きで、原作も読んでいますし他の映画DVDも買っているんですが、この作品はホームズ関連の部分がめちゃくちゃなのに留まらず、コナン物としてもつまらないです。
あんな後出しジャンケンみたいな卑怯な手段を使う相手にめげるコナンなんてコナンじゃない! 蘭ちゃんも哀ちゃんもちびっ子探偵団も、みんな揃って役立たずだし……魅力ゼロどころかマイナスです。

文句は山ほど有るんですが、とりあえずホームズ関連の突っ込みを羅列してみます。
●アイリーンが離婚してロンドンに来ている(戻ってこないと言ってたし、あの時代そんな簡単に離婚はできない)
●アイリーンとホームズが両想い(ホームズが一番心惹かれたと言っていた女性は毒殺魔)
●ホームズの銃にイニシャルが入っている(そんな身元バレするような迂闊な物を持ってるわけがない)
●モリアーティ教授が「切り裂きジャック」を育てた。(…………)
●パンフにてホームズの部屋に「ライヘンバッハの滝」の絵を飾るアイディアを自慢(グラナダTVがとっくの昔にやっている)etc

シャーロキアンを意識したわけではないとの事ですが、普通に正典を読んだだけの小学生でも突っ込みどころ満載だと思われます。
教育に関する社会批判的なメッセージもありますが、それも的はずれ。体育の時間を休むときは、参加できなくてもお友達がやっていることをしっかり見てルールを覚えたり、記録を取ったりする形で参加する物なのに、1人でノートパソコンいじってりゃ怒られて当然。それを「個人の個性をつぶしている」って……。

さらに小学生低学年向けのゲームに「切り裂きジャック」という時点ですでに脚本として無理があるんですが、肝とも言えるジャックの正体を見破るネタが、平治のお母はんの出てきた回のネタの使い回しって何じゃー!!
脚本家さんはコナンの原作をちゃんと読んでないのか? と疑ってしまいました。というか、周りの人もネタかぶりくらい指摘して下さい。

これなら森谷帝二(モリヤテイジ→モリアーティ)というキャラが出てくる『時計じかけの摩天楼』の方が断然お薦めです! ベタベタな展開ですが、コナン君も蘭ちゃんも大活躍で面白いです。


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