【 帰ってきたシャーロック・ホームズ 】(The Return of Sherlock Holmes)
1987/米国/CBS/カラー/日本語字幕VHS/94分

監督:ケビン・コナー 脚本:ニック・ギロット
ホームズ:マイケル・ペニントン/ジェーン・ワトスン:マーガレット・コリン
【 概要 】
ワトスンの曾孫のジェーン・ワトスンは、曾祖父譲りの好奇心からカリフォルニアで探偵事務所を開いていた。しかし、人のよい性格まで受け継いだ彼女は、依頼料をふいにしてしまうこともしばしばで経営は大赤字。
やむなく曾祖父の残したロンドン郊外の家を売ることを決意し、渡英した。

初めて足を踏み入れた館の中で、彼女は曾祖父の残した不思議な装置を発見する。記録を頼りに装置を作動させてみると、なんと中から冷凍睡眠状態だったシャーロック・ホームズが現れた。
ホームズはモリアーティの仇を討とうとしたその弟の策略で、当時では治療法の無かった菌に感染させられ、治療法が見つかるまで彼の発明した冷凍睡眠装置で1901年から眠りにつき、そのまま誰にも知られず86年間も眠っていたのだった。
病院で何とか薬を入手して生命の危機を乗り切ったホームズ。しかし、見知った人も場所も何もない近代化した社会を前に、無力感に襲われる。

そんな時、ジェーンの事務所が荒らされ、彼女の父の死因が自然死では無いという意味の書き置きがされるという事件が起きた。そこで力を借りたいというジェーンの説得に、ホームズは探偵業に復帰する決意をする。

ホームズは見慣れない物の数々に苦労しながらも現代の道具を使いこなし、さらに昔ながらのいつもの捜査方法とで真相に迫る。

【 感想 】
パスポートは? 免許証は? 住民票はどーしたの??? などという細かいところはすべて気にしない! 
無茶な設定が基本にある話にしては、起こる事件は普通にミステリー物でラストにどんでん返しも用意されています。

初めは、もしかしてホームズとワトスンの曾孫のお嬢さんとが恋仲になったりする話? とちょっとした不安を抱きながら見始めたのですが、ホームズは過保護なパパモード全開で楽しかったです。

モースタンやショルトー等、『四つの署名』の登場人物の名前が多く、話自体も昔手に入れた大金を巡るトラブルなので、ほとんど原形をとどめていませんがベースになった話は『四つの署名』だと思います。
それ以外にも正典の色々なシーンが盛り込まれていて『え〜と、これはどの話だっけ?』と、思いながら見るとなかなか楽しいのですが、被害者や容疑者が複数いてそれがさらにいくつも偽名を持っていたりするので、まじめに見ていないと事件の内容に付いていけなくなったりもします。

ホームズは結構挿し絵のホームズ風でなかなか様になっていて、英国風のツイードのスーツ姿が格好良かったです。
でも、現代女性の積極性にたじろいだり、“成人向け(18禁)本屋”に何も知らず入ろうとして「成人向けよ!」と、止められても「成人だから大丈夫」と入っていって、ふらふらしながら出てくるシーンは可愛かったです。


ただ字幕の訳をした人はホームズについてあまり詳しくないらしく、“Elementary My dear Holmes”を「まだ序の口」“The game is afoot”が「事件だ。ワトスン君」と訳されていたりしてちょっと不満でした。話の流れ的にはその訳で問題ないのですが、やっぱり「初歩だよ」「獲物が飛び出した」という、いつものフレーズで見たかったです。

≪BACK ‖ TOP ‖



【 迷探偵ホームズ最後の事件 】 Without A Clue
1990/アメリカ/I.T.C Entertainment/カラー/日本語字幕VHS/112分

監督:トム・エバーハート 脚本:ラリー・ストロウザー ゲーリー・マーフィー
ホームズ:マイケル・ケイン/ワトスン:ベン・キングズレー
レストレード警部:ジェフリー・ジョーンズ/ハドスン夫人:パット・キーン/グリーンハウジ:ピーター・クック
【 概要 】
博物館にトンネルを掘って進入した泥棒を待ち伏せて、見事捕らえたホームズ! ……と、思いきや、ワトスンに怒鳴られて小さくなっている。
何とホームズは、ワトスンのシナリオ通りに名探偵を演じる売れない俳優だったのです。
しかしホームズは女好きで酒癖が悪くおまけに尊大で、ワトスンに愛想を尽かされ221bから叩き出されます。

ワトスンは『クライム・ドクター』として自分独りで捜査をしようとしますが、世間では既に『名探偵と言えばホームズ』と認知されており、ワトスン独りでは依頼人も帰ってしまう。
やむなくワトスンはホームズを呼び戻し、政府からの依頼のお札の原版盗難事件に挑む事に。借金取りに追われていたホームズは渋々協力するが、事件の黒幕が犯罪界のナポレオンのモリアーティと知って逃げ出そうとする。
しかし、モリアーティはホームズではなくワトスンが事件を捜査していると気づいていて、自分に危害を加えては来ないと聞かされて安心して捜査に付き合う事に。さらに、父親が事件に巻き込まれた美女に良いところを見せようと奮闘するホームズ。
だがホームズの迂闊な行為によってよって、ワトスンはテムズ川の藻屑と消える……。

残されたホームズは自暴自棄になるが、レストレードにワトスンを侮辱されたことに憤慨し捜査を続行。
ワトスンのやり方を真似て推理を働かせ、ハドスン夫人とイレギュラーズのウィギンズを伴い、モリアーティ教授のアジトを割り出して乗り込みます。

【 感想 】
資料本によると1990年にアメリカで制作とありますが、手元のビデオパッケージには『1988年イギリス映画』と書かれています。どっちが正しいんだか。“迷”なのはタイトルだけにして頂きたい。

実は密かに大好きな作品だったりします。
ホームズが実は馬鹿な俳優という設定に抵抗があって、長い間見ないで放って置いたのですが、もっと早く見ればよかった! と後悔しました。でも、見て怒りまくったという人も居たそうですので、素直にお薦め作品とは言えません。
ワトスンはもみあげが長いし、ホームズは全然細身じゃないし、見た目を似せようと言う努力が全くされていないのはちょっと抵抗があります。

初めは犯罪界のナポレオン、モリアーティが黒幕と聞いてビビリまくって逃げようとしたホームズが、ワトスンに代わって捜査をする内に自信を付けて、最後にはフェンシングで一騎打ちを挑む程に成長する――というと格好良い感じですが、それを実に格好悪く成長する所が良いのです。
また、ハドスン夫人の大活躍も見物です。

ワトスンを侮辱したレストレードに対する仕返しがまた爽快。あの後、レストレードが暗闇でどっきりな目に遭うのかと思うと、にんまりとしてしまいます。気の毒だけど。

お互い分かり合えずにぶつかっていた2人が、互いの力を認めて尊重し合う様になるなんて、お約束なネタですが好きなんです。
反発→衝突→和解は、我が心の黄金パターンのようです。

≪BACK ‖ TOP ‖