【 バスカヴィル家の犬 】 Hound of The Baskervilles
1983/英国/EMBASSY HOME ENTERTAINMENT/日本語字幕VHS/カラー/100分

監督:ダグラス・ヒッコックス 脚本:チャールズ・ポウグ
ホームズ:イアン・リチャードソン/ワトスン:ドナルド・チャーチル
ヘンリー・バスカヴィル:マーティン・ショー/モーティマー:デンホルム・エリオット/
【 概要 】
夜に館の中庭で、チャールズ・バスカヴィル卿は何かに酷く怯えたように心臓発作で亡くなった。

バスカヴィル卿の親友であったモーティマー医師は、バスカヴィル家に伝わる魔犬の伝説を思わせる、卿の死の前に目撃された巨大な犬の存在に不安を感じ、相続人のヘンリーが米国から帰って来るにあたり、助言を求めてホームズの元を訪れた。
翌日、依頼を受けたホームズの元を尋ねたヘンリー卿は、不審な手紙が届いた事をホームズに告げ、その帰り道に馬車から狙撃される。
ホームズのお陰でヘンリー卿は難を逃れるが、犯人には逃げられてしまう。
命を狙われても受けて立つと、ダートムーアに向かう決意を曲げないヘンリー卿に、多忙で倫敦を動けないホームズはワトスンを同行させます。

ダートムーアでは凶悪犯のセルデンが脱獄。彼を逮捕したレストレードが派遣されており、ワトスンを見てホームズがセルデンの件に関わってくるのではないかと牽制してきます。
バスカヴィル館では、暖炉から『L.L』と署名のある手紙の燃えかすが見つかり、深夜には女性の泣き声が聞こえた。
翌朝、ワトスンは早速ホームズに報告の手紙を出しに行き、その帰りに“L.L” ローラ・ライオンズに会いに行くが、粗暴な夫に邪魔され何も話せなかった。
その帰り、ジプシーに絡まれたワトスンは、生物学者のステイプルトンに助けられる。その頃ヘンリー卿は湿原でステイプルトンの妹ベリルにこの地から去るように忠告を受けます。

その夜、バリモア夫人が佇んでいた窓辺から、不審な明かりを見つけたワトスンとヘンリー卿は、灯りのあった湿原へと向かい、そこで脱獄犯のセルデンを見つけますが逃げられます。そして、その場で以前ワトスンに絡んできたジプシーの姿も見つける。
たびたび現れるジプシーに不信感を抱いたワトスンは、彼のアジトを突き止め待ち伏せます。
そこでワトスンはホームズと再会し、その後は2人で捜査を続け事件の真相にたどり着きます。

【 感想 】
原作とかなり離れた設定が数多くありますが、作品として非常に面白く仕上がっています。
何度もステッキを忘れるモーティマー先生のうっかりぶりがいい感じだし、ホテルのメイドの逞しさや、ホームズと馬車の御者とのやり取りもとても面白い。
ホームズとワトスンのやり取りも、いい年してふざけっこしていたりして可愛いです。
ホームズは見事な変装も披露してくれます。ホームズの変装に騙されていたと気づいて怒っていたワトスンが、「君のお陰で事件解決が近い」と言われて何とか機嫌を直したのを、ホームズの襟の曲がりを無言で直す仕草で表すのも良かったです。

話的にもヘンリー卿が狙撃されたり、怪しげで暴力的な画家のライオンズ(原作では名前しか出てこないローラの夫)が出てきたり、先々でジプシーの占い師が現れたり、と怪しげな出来事が次々と起こります。白馬に乗った王子のように颯爽と現れるベリル嬢も格好いいです。
ラストには魔犬との格闘や派手に銃撃戦なんかも用意されていて、色々ごちゃっと盛り込まれた火サス的なノリが好きな方にはたまらんかと。


狙撃なんてもろ丸分かりの殺人をしようとするなら、初めっから犬を調教するなんてまだるっこしい事をせずに射撃の腕を磨けばいいのに……なんて野暮な突っ込みは無しで楽しく見ましょう。
爆笑ではなく「くすっ」と、笑える要素をふんだんに盛り込んでくれていて、緊張と緩和のバランスがいい感じでとれた作品です。


≪BACK ‖ TOP ‖